はじめて風邪をひいた日

青空

揺れる洗濯物

あの人がお気に入りだった映画を見た

めがねをつけずとも青空と白い雲が見えた

一羽の鴉が優雅に空を泳いでた

聞こえる掃除機の音

優しい風が吹いた

そっと私の頬を撫でた

筆を執ろう

ゆるやかな音楽を聴こう

今日という時間をゆっくりと過ごそう

爪を切ろう

爪を整えよう

多くは言わない

けれど言葉を残そう

そしてまた

映画を見よう

ベランダを

明るいうちに

掃除するんだ

久しぶりにコーヒーでも淹れようかな。

なんだか嬉しい気分になってきたな

風邪をひいたら

大切な人たちの顔を一人一人思い出せたんだ

嬉しいな

ねえ

私もあなたもそれぞれの道を歩んできたけれど

元気にしてますか

連絡をとらなくなってしまったけれど

たまには思い出してみたりするんです

ねえ

元気にやってますか。

風邪をひいた日に私から聞くのも変かな。

きっとこの言葉すら届かないけれど

「上手に」なんて言わない。

いつの日か笑って会えたらいいなって思いは直接には言わない。

いつの日かどこかで不意に会えたのなら

そっと笑みをくれたのならそれで良い。

その日には私もそっと言葉をわたすことでしょう。

今日もあなたはいきているのかな。