ねえ、今夜は
月が綺麗なんですよ。
この手の届かない遠いとこに、明るくひとつ。
星は見えない、明るすぎるから。
月しか見えない。
もっこり咲いてた桜だって
ねえ、もう葉桜へと姿を変えている。
私、恋してたんだ。
美しいのなんて本当に一瞬で。
過ぎし四季に姿を変え、時を超える。
あなたと見たかった
一番綺麗に咲き誇るところを。
一番光る月を。
暗闇でもひとり光るあなたの様な。
ずっと暖かかったこのまち。
三月の最後の日、
はじめてとても寒いと感じているんだよ。
でもね、冬でもない。
春でもない気がしてる。
センチメンタルになるのは
この温度の所為にしてもいいかな。
きっと私は桜の木。
この街で変わりゆく姿を見ていてよ。