今日みた夢のはなし
私は泣いている。
絵筆とスケッチブックを持って泣いている。
だれも見ることのないテレビからは、
騒がしい笑い声が流れている。
しかしそれを五月蝿いとも思う事はない。
只の生活音と化しているから。
自然に伝う涙だったのかもしれない。最初は。
しかし、だんだんと嗚咽を漏らすほどに激しく悲しみという感情が沸き起こってきた。
「私は絵描きになりたかったんだ」
その時そう自覚していた。
トイレから出てきた同居人が不思議そうにこちらを見つめる。
しかし、私に声をかける事はない。
そして、どこかへ消えた。
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起きて30分もすれば
見ていた夢の内容なんて微かになってしまう。
衝撃だったはずなのに、
起きればスマホをいじり他者からの情報が
これでもかと押し寄せて来る。
夢だからじゃなかろうか。
人が、自分の脳内に足を踏み入れることなく、
自分の時間を自分が生み出した情報だけで満たすことができるのは。
今回、私は泣いていた。
「絵描きになりたかったんだ」と泣いていた。
私は特別な才能が欲しいのだ。
というよりも盲目になれるものが欲しい。
昔からオタク気質な子に憧れていたのはこの所為なのかもしれない。
小さな頃からそうだった。