悲しくなったこと
さっきまで身動きの取れないほどの
満員電車に乗っていたんだ。
ドア付近にいる人間は一旦電車から降りて
下車する人のために通路を確保する。
それが当たり前だと思っていた。
おじさんが不安な顔をしていた
困惑の顔。
おばさんがその場から離れなかった。
「邪魔だなぁ」
と思ってしまった。
おばさんは多くの人に押し出されて、
よろめきながらホームへと吐き出された。
ふいに、祖母の顔が
通学路の青々とした山の光景が脳裏をよぎった。
ごめんなさい
人の顔をいつの間にか見れんくなってることに。
他人がそうしてるからという当たり前に縛られていたことに。
もっと、他者を思えるようになりたい。