週末の事なんだけど。
「紙とペンはありますか。」
そう尋ねることもやめておいた。
今飛び立ったばかりだから
すぐに膝の上のiPhoneを手にとった。
それはまるで三日前の私達の様な
恋人の再開を描いた映像広告が
機内モニターに映し出されたから。
思い出したんだ。
短く本当になんでもない日を過ごした四日間。
何にもない三連休。
会いたかったんだ。
前の夜に貴方が「会いに来てくれたら嬉しい。」と言ってくれたから
最終便で来たんだ
朝、いつもより少しだけ早起きをした。
大きなトランクに少しだけ無造作に自分の物を詰め込んで、貴方の忘れてった少し大きなバックを丁寧に入れ込んだ。
その日のぎゅうぎゅうの通勤電車には
少し申し訳ないなと思いながら乗り込んで。
「余裕を持って最終便にしよう。」
実家に一番近い空港は
早くに閉まってしまうから。
車で1時間ほど離れた北九州空港行きの片道切符をとった。
はじめての企画会議に出席させてもらって
そのまま残業。
アイデアに煮詰まって重い空気の流れる会議室を、先輩が気を効かしてくれて後にして。
伽藍とした羽田空港
他の行き先を記されることのない電光掲示板
あと残すは私の乗る便だけ。
待合室のソファに靠れる人々。
空席の多い機内
初めて降り立った北九州空港。ガラス越しの搭乗待合室の電気はすっかり消えていた。
「ああ、ここから韓国へは2時間もあれば行けるのか」
とうに切れてしまったパスポートの期限印字を思い出す。
「作んなきゃ」
続いて地元でお世話になったおじさんの顔が脳裏に浮かぶ。
数人が羽田から運ばれて来た人間をソファで待っていた。
あの日と同じホテル
懐かれた子猫の左目は真っ白な白内障で、私をまっすぐ見上げてきた夢
そうして不気味だと不審に思い目覚めたこと。
好きな歌手が歌詞に書いていたっけ。
字面でしか見たことのない、未知な飲み物。
ウェルカムドリンクなんてサービスがあるので田舎はすごい。明日の朝に頼んでおこうと期待を膨らましていた。
学生時代のアルバイト先の担当番組がガラリと変わっていたこと。その番組で紹介されていた柳川へのバスツアーへの憧れ。
行為が終わったあと、睡魔に侵食される意識でぼんやりと画面を眺めていた。
私はやはり最中に気絶することができなかったこと。(書いてたら思い出した...緊縛行ってない...)
日は変わり
玉名へと行った。
帰り道で見た夕日は大きく強かった。
1658 滋賀県上空